秋田県上小阿仁村

       H20.7.30行政報告会 村長報告

 

介護には、原則的に三つの形式があります。第一が在宅介護、

第二が在宅介護を補完する形で、指定業者(ヘルパー)による

出張介護、第三が施設介護です。介護施設では、原則的に一人

当り年間約420万円の負担となります。出張介護でも最大年間

400万円程度介護保険の負担となり得ます。しかも出張介護を

頼んでも、介護度345の人の家族の世話は、24時間体制で

ある事実は変わりません。施設介護でも出張介護でも、本人負

担が10%であり、しかも限定枠を超える出張サービスについて

は全額本人負担となっているので、この制度は、低所得層に対

しては利用抑制効果を発揮しています。

 

ここで問題は、施設にも預けず、出張介護も利用せず、ひたす

ら家庭で介護している人に、介護保険制度が何の給付も行って

いない事実です。介護度345の人を家庭で介護する者は当

然のことに、職業生活を放棄しなければならない事実がこれに

加わります。極論すれば、施設に入れるだけで年間420万円の

介護保険負担下に、有職者は、月給、ボーナス、退職金、共済

・厚生年金が入り、これに対し居宅介護者(無職)は、月給、

ボーナス、退職金、共済・厚生年金の全てを放棄せざるを得ず

わずかに国民年金で良しとしなければなりません。
この制度は著しく不公正です。この不公正を部分的に市町村レ

ベルで是正し、介護者がある程度報われることを目指すものが

本邦初の『特例居宅介護サービス費支給制度』です。つまり、

運良く施設に入所した人、ホームヘルパーをフルに利用できる

人以外に、経済的負担増や家族への愛ゆえに、就業をあきらめ、

居宅介護に専念する人を多少とも介護保険の中から援助しよう

とする制度です。


 これは、介護保険法第42条第13号を適用し、介護度34

5の人の居宅介護者に月額上限約10万円を介護保険から給付す

る制度です。本村では、居宅介護家庭によるホームヘルパーの

利用平均が年間約135万円以下なので、これを一応の目安とし

て居宅給付上限基準を年間144万円(月額12万円=介護度5

10万円=介護度49万円=介護度3)として、この中から当事

者負担10%、社会福祉協議会に委託する申請手続費5%を引い

た額(月額102,000円)を実質給付限度額としています。しかし

この給付は無条件ではありません。


 つまり条件は、介護者が月間出張介護及び短期施設介護を月

12万円以上利用する場合には、居宅介護費支給がゼロとなり、

出張介護費及び短期施設介護費がゼロの場合に、居宅介護支給

が月12万円となり、その間で、出張介護費が上がれば、居宅

介護支給額が下がり、前者が下がれば、後者が上がる仕組みと

なっています。


介護者もしくは介護されるものは、そのどちらかをバランスを

とって、無理の無い様に選択する機会が与えられたわけです。
 なお、上小阿仁は、この制度を介護保険法改正によって、

全国に実現し、しかも給付上限規定(月額12万円)もこれに盛

り込むことを厚生労働省に提案しましたが、当然のことに、応

ずる姿勢は見られませんでした。


 なお、小生が村長に就任以来節約によって、それまで居宅介

護者に支給されていた月額1万円、5千円、2千円、そして出張

介護利用ゼロの人に年間10万円支給していたものを、月額2万円

(非課税家庭で介護度541万円(課税家庭で,介護度54)、

5千円(介護度3)、ゼロ利用者に年額20円に増額しました

(新制度導入と共に20万円はカット!)。この制度を継続させ、

新制度で給付対象とならない人に、この制度を利用してもらうこ

とにしています。本村の如く、一般会計規模22億円で約54億円

近くの借金のある村では、この制度をどの程度続けられるかは

予測がつきません。


 20年度予算編成時期に事務方から25千万の基金(家庭で言え

ば預金)の取り崩しの案がありましたが、この方式が続けば6年後

には予算が組めなくなるので、節約を強行させ、一時的にのみ3

万円の取り崩しを認めることで予算を組みました。これだと基金が

47年間ゼロにならない計算となります。

財政再建の一歩を踏み出したわけです。上小阿仁村の高齢化率は43

%以上で日本の平均が50年後に到達する数字を現在すでに実現して

います。


 その意味で、上小阿仁村が社会福祉政策においても、日本全体が

到達すると予測される一つのモデルを示すことが可能であればと望

んでいます。そのモデルの一つが本邦初の「特例居宅介護サービス

費支給制度」と理解しています

 

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